僕らの新生活の幕開けは、それはとても地味なものだった。
新しいマンションでの生活は、僕らにとって初めての一歩。僕らは一緒に暮らすことを決め、お互いに納得して新たな日々を迎えた。
新しい生活に慣れるまでには、少し時間がかかり、互いの習慣やペースに合わせて、徐々にリズムを整えていった。
彼女は新しい自転車で通勤し、彼は車での移動を続けた。彼女は自分の部屋がなくても問題ないと言ったが、僕は彼女のためにリビングを快適な空間にすることを心掛け、なるべく自分の部屋にいるようにしていた。かまってほしい時があるのか、たびたび呼び出されてはいたけれど。
彼女は料理をすることを覚えていっては楽しみ、僕に料理を手伝うように言うこともあった。
防音の部屋のおかげで、僕たちはは気兼ねなく自分たちの時間を過ごすことができた。
しかし、新生活にはトラブルもあった。家電製品などをできるだけリサイクルショップなどで安価に揃えたのだが、これが結構壊れた。
「新品にした方が安く済んだかもね」
彼女はそう言って笑った。
彼女は通勤先で評判がいいらしく、アルバイトから正社員になった。
給料は微々たる増額であったが、社会保険に入れたことが彼女は嬉しかったらしい。
今までまともに病院に通うこともできなかったのだから。
僕は、というと一人の時などに出会い系サイトを眺める時はあったけれど、誰かと会う気にはなれなかった。
「これでいいのかもしれないな」
何気なく続いている生活。僕もそれに慣れ始めていた。
では、また。