知り合ってまもない女の子との同棲生活が始まりました。
彼女は家族愛というものにとても飢えていたのか、リビングで僕と会話することを楽しんでいるようでした。
仕事の話から近所の店の評価まで、たくさんの話を聞かせてくれました。
そうして話こんで、男女の関係を持つのが僕たちの日常でした。
僕はあまりお金を使わなくなりました。
それであれば、彼女との生活に何かしら買った方がいいと思うようになったのです。
彼女は元の生活が悲惨な金銭状況だっただけに、とても財布の紐が硬いです。
一度、高級な肉を買ってきて、すき焼きをやろうとしたんですが、
「そんなに贅沢をしてはいけない」
と真顔でじっと見られました。
ある時、僕が部屋で仕事をしていると、リビングから呼ぶ声が聞こえました。
「今、忙しい?」
「ちょっと立て込んでる」
「じゃあ後でいいわ」
「大事な話?」
「まあ、そんな感じ」
「わかった。後でね」
この話で僕たちの生活が大きく変わることを、この時の僕は知る由もありませんでした。
また。